初期にはほとんど自覚症状がありません。
※初期にはほとんど自覚症状がありませんが、血糖が徐々に上昇してくると、倦怠感、頻尿、尿量増加、体重減少、口渇などの症状が出現し、合併症による症状も出てきます。
脳 | 動脈硬化、脳梗塞 |
---|---|
眼 | 網膜症、黄斑症、失明 |
呼吸器 | 感染症、肺炎、肺結核 |
心臓 | 狭心症、心筋梗塞 |
腎臓 | 腎症、透析 |
泌尿器 | 勃起障害、尿路感染症、膀胱炎、排尿障害 |
神経 | 末梢神経障害、自律神経障害、単神経障害 |
足 | タコ、白癬菌症(水虫)、末梢神経障害、足潰症、足壊疽 |
糖尿病とは、ブドウ糖が血液の中に増えすぎてしまう病気であり、インスリンが十分に作用しないために起こります。 自覚症状に乏しく、重篤な合併症を引き起こす特徴があります。
2007年国民健康栄養調査によると、糖尿病が強く疑われる人890万人、糖尿病の可能性が否定できない人1320万人ともいわれており、増加傾向にあります。
糖尿病は大きく分けて次の2つのタイプの病型に分けられます。
インスリンを作る膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島が働かず、インスリンが全く(またはごくわずかしか)作られなくなっているタイプの糖尿病です。原因ははっきり分かっていませんが、ウイルス感染などをきっかけに起こることもあります。日本ではこのタイプの患者さんは少なく、全体の数%程度です。小児期に発病する方が多いという特徴がありますが、中年になってからこのタイプの糖尿病が起こる方もいます。
※インスリン自己注射が必要な場合が多数である。
膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンの量が少なかったり、インスリンの働きが悪くなったりしている場合に起こる糖尿病で、日本の糖尿病患者さんの95%以上がこのタイプです。
このタイプの糖尿病になる原因は、遺伝的に糖尿病になりやすい体質と、食べ過ぎや運動不足、肥満、喫煙、飲酒、ストレス、年をとることなどさまざまなことが関わっているといわれています。中高年に多いタイプの糖尿病ですが、食生活の変化などにより、小中学生の間にも患者さんが増えていることが問題となっています。
※治療は内服薬からインスリン注射まで多様である。
この2つのタイプの糖尿病の他に、他の病気や特定の薬の影響で起こる糖尿病、妊娠をきっかけに起こる糖尿病(妊娠糖尿病)もあります。
1型糖尿病 | 2型糖尿病 | |
---|---|---|
割合 | 5%以下 | 95%以下 |
発症年令 | 若年に多い | 中年に多い |
原因 | 膵β細胞ウイルス感染、自己免疫 | 遺伝的、肥満、運動不足など |
治療 | インスリン注射が必要 | 食事療法、運動療法が主体 |
糖尿病の治療は、合併症の発症・進行を予防するために高血糖を是正することです。つまり血糖コントロールがすべての基本となります。血糖コントロールの手段は、食事療法、運動療法、薬物療法の三つが柱となります。
食事療法は糖尿病治療の基本になる治療法です。
食生活が乱れていると運動療法や薬物療法をいくらしっかりやっても、糖尿病はよくなりません。
食べ物と血糖の関係をより理解し、上手に付き合っていくことが食事療法を継続するポイントです。
笠寺病院では管理栄養士による栄養指導を行なっています。
>>栄養課
運動で体内に余分に溜まったエネルギーを消費すると血糖値は下がります。 また、インスリンの細胞レベルでの働きが高まり(インスリン感受性が高くなり)、血糖コントロールがしやすくなります。さらに、血行がよくなる、ストレスが解消される、皮下脂肪が減る、骨格筋が増える、生活の活動度が高まるなど、多くの効果を得られます。
運度の種類は、日常できるものならどんな運動でもかまいませんが、できるだけ全身を動かすものが勧められます。それまであまり運動をしていなかった場合には、次第に強い運動に移るようにしてください。週末だけに集中して運動するといった方法よりも、できれば毎日行うことができる運動を選びましょう。それには「歩くこと」が最も勧められます。
※病態によっては運動療法を制限した方がよい場合があります。運動療法を行う前に、主治医とよく相談しましょう。
薬物療法は、大きく分けて、経口剤と注射剤の2つがあります。
どちらの薬物療法をいつから始めるかは、患者さんそれぞれの糖尿病のタイプや病状、合併症の進行具合など、さまざまな要因を総合して決められます。
PDFファイルの閲覧にはAdobeReaderが必要です。
>> Adobe readerのダウンロード